民話 その3

鶏小屋の下に座らせたくない

 昔、笹川の家は金持ちと貧乏の家との差が激しかった。
家の玄関は、戸ではなくむしろが吊されていた。
その頃は笹川に狐が多かった。
そして鶏を飼う家は、狐に食べられないように家の玄関の次の部屋の入り口の上に鶏の小屋(寝床)が作ってあった。嫁取りのよばれ(宴会)には席順が決まっていて、金持ちの家から順番に座りました。
貧乏な人たちは、隅っこに座りました。そのため鶏の寝床の下に座ることになりました。
糞をすると頭の上にかかりました。
そこで親たちは、子供に「鶏小屋(寝床)の下に座らせたくない。」と思うようになりました。


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信恵ちゃんの【笹川のむかしむかし】より

重兵衛草鞋(じょうべい わらじ)

 城山に、城が有った時、七重滝から水をひいて飲み水にしていました。
城山に敵が攻めて来たとき、じょうべいのお婆さんが、「馬のわらじで水を止めたらいい」と教えました。
城山は、水が無くなって、戦に敗れてしまいました。
それから裏切り者のことを「重兵衛わらじ「と言うようになりました。


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信恵ちゃんの【笹川のむかしむかし】より

なおのりの股くぐりムジナ

 昔、なおのりにムジナがいました。
人間の股をくぐって転ばせて血を吸ったたと言うことです。
孫八のおじいさんがなおのりの道を通った時のことです。
暗くなって山からの帰り、ちょうどムジナが出てきました。
そこでタバコに火を点ける時の火打ち石を「カチン、カチン」と鳴らしたところ、ムジナが逃げていきました。
それからそこを通る人は、火打ち石を持ってムジナを追っ払ったそうです。


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信恵ちゃんの【笹川のむかしむかし】より

へっつるの仏様の石

へっつるの仏石.jpgへっつるの仏石.jpg 昔、弥与松のおじいさんが、家で寝ているとき「やよいもん、やよいもん。」と仏様が呼ばっしゃったそうです。
「川の中に沈んでいるので上げてくれ。」と言ったので、次の日の朝。へっつるの川へ行って、大きな石を上げました。石には、仏様が彫ってありました。
今でも、城山の入り口に祀ってあります。


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信恵ちゃんの【笹川のむかしむかし】より

ほうぜんたけたかの話

 親のいない二人の兄弟がいました。
おんちゃん(兄)が重い病気にかかりました。
弟が毎日山へ行って山芋を掘って大きいのばかり食べさせていました。
あんちゃんは、弟がは、もっと大きい芋を食べていると思いました。
そして、弟を殺して腹を割ってみると、細い食べられないような山芋が入っていました。
あんちゃんが可愛そうになり死んで鳥になりました。
「ほうぜんたけたか、おとうと恋し。」と5月、10月頃に鳴いています。


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信恵ちゃんの【笹川のむかしむかし】より


こまどりの話し

 昔、むかし、山奥に馬を飼っていた家がありました。
毎日、毎日、馬に水をやらなければなりませんでした。その家の娘に水をやるように頼みました。
 でも、怠け者の娘は、馬に水をやりませんでした。家の者が「水、やったか。」と聴くと、うそをついて「やった。」と言っていました。そのため、馬はとうとう死んでしまいました。
 それから、娘は重い病気にかかって死んでこまどりに生まれ変わりました。
 こまどりは、水を飲むと水が火になって喉が焼けるので、飲むことが出来なくなってしまいました。
 それからというものは、露しか飲めず、露に鳴く鳥になりました。
「い~は~ん。」と、馬のように鳴いています。


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信恵ちゃんの【笹川のむかしむかし】より