民俗芸能

加賀幸(カガサキ:かべねり唄)

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 この唄は笹川の村に古くから伝わる民謡です。
家を新築する時に壁を塗る材料の土壁(つちかべ)1軒分を、村の若衆数十人が朝早くから一日掛けて田んぼで、材料の土、川砂、稲わらを細かくした「ソタ」と呼ばれる物に水を加えて、音頭とりの唄に合わせて鍬で練りあげました。
 このとき音頭取りが唄う唄を「かべねり唄」と言い、古くは「カガサキ」とも言われていた仕事唄の一つです。

川砂は、若い娘達が笹川よりツブラで担ぎ運び、
ソタは、田んぼの周りでお婆さん達が稲わらを如かく切り刻みました。

 近年では家の新築には土壁(つちかべ)が使用されなくなったため、かペねり唄は祝いごとの席などで時々歌われていました。
 また、近代的に編曲し笹川小学校児童たちによって演奏されたりもしていました。

 その後、笹川青年団員たちによって踊りの振付がなされ、青年団活動の発表会で披露され、新しい形の祝い唄として伝えられるようになりました。

前唄
  夜道サアーノ ひ-るまサーアノオ だぁーてだコーオォ
        ヨイトナーアァ コイトナーサァ やんっ船-
はやし
  ソーノオ セイヤハイデ イチドニヤーランカネ
      ソーレハ ハイトセー ヨイヤコラショ
本唄
◎めでためでたの若松さまよ
                 ハ コラマタショ
    枝も栄える葉も茂る
                 ハ コラマタショ

◎この屋敷座敷は めでたい座敷
   ツルとカメとが舞い遊ぶ
◎堅いようでも油断がならぬ
   溶けて流れる雪ダルマ
◎唄でやらかせこのくらいの仕事
   仕事苦にすりゃ日も長い
◎お前一人と定めておいて
   あとは私の出来心
◎そろたそろたよかべねりゃそろた
   稲の出穂よりなおそろた
◎姉の見合いに 妹の忍び
   天下晴れての仇を打つ
◎花は千咲く なる実はひとつ
   九百九十九はむだの花
◎春は桜よ秋ならモミジ
   冬は宿にてワラ仕事
◎長い刀は 昼間の伊達よ
   よさりゃ(夜) 夜道の杖となる
◎世間渡るはオカベ(豆腐)で渡れ
   豆で 四角で やわらかで
◎オラの若いとききゃ娘と寝たが
   今じゃ年とり 孫と寝る
◎笹郷山見りゃ カスミがかかる
   私しゃあなたに気がかかる
◎クワとツプラで水田(みずだ)の中へ
  今朝(けさ)もはよからドットイナァ-
◎カラス鳴いても気にかけしゃすな
   カラスその日の役じゃもの
◎今の若い達ちゃコラドォジョイノ
  これじゃ世間はドットイノォー
◎器量いい姉ちんゃん達酒盛り仕度
  ここら当たりでドットイナ