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南保富士頂上から大鷲山を眺望(秋)

大鷲山(標高 814m)

 ほとんどの山は、いくらか標高のあるところからスタートするが、この山は潔いほど海面に近い。
新潟県と富山県の境にある境川河口が出発点である。ヒスイ海岸から登る犬鷲山(817m)は、山の標高そのものを自分の足で稼ぐ。
その上、登るにつれて、右に左に海が見えてくる。
海を見下ろし、栂海新道の山々を眺めながら、気持ちのよい尾根を歩く。
なかなかの山である。
これまでは残雪期に雪を利用しての登山がされていたが、地元のHOという人によって山頂までの道が開かれた。
山間部への公共の交通が不便となり、北アルプスの有名な山以外はアプローチに自家用車という時代にあって、この山はJRで行ける貴重な山でもある。

アプローチ

入り口.jpg新潟と富山の県境に境川がある。富山側から国道8号線を走った場合、境川にかかる境橋の直前に登山口がある。
海側に境建設、山側に境川第2発電所があり、国道の横に登山口標識がたっている。
 JR利用の場合は北陸線市振駅から国道を約一㌔歩き、境橋を渡れば目の前に登山口がある。

コース

 国道脇の標柱には「山道入り口、海を見ながら山歩き、山頂へ5km3時間」とある。
ちょっと登って用水路を進み、すぐに杉林の急登となる。送電線の鉄塔広場で患を整える。

この先も急な杉の植林地を直登する。このあたりががまんのしどころ。
まもなく広葉樹の林になり、470mの小ピークとなる。


50mほど下り、登り返したところが展望広場で、林道烏帽子線が横切っている。
海を眺める絶好の地で、休憩用のベンチもある。
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 林道の法面に刻まれた道を登ると、ブナやナラの林になる。
春はイワウチワが林床をピンク色に埋めるところである。
道は尾根を忠実にたどる。途中から白鳥山や上路の集落が見えてくる。
 潅木の背は低くなり、風雨に耐えたゴヨウマツが細い尾根の真ん中に現れたりして気持ちよく歩ける。
左右の展望がよく、海が見えるのもうれしい。750m地点で進行方向を直角に左に折れる。
この少し先で正面に山頂が見えてくる。初雪山が見え、その左に犬ケ岳から白鳥山あたりの山々を望むことができる。
 山頂は広く刈り開いてあり、三角点標石と頂上標識がある。富山平野と富山湾がよく見える。
登山道は山頂で行き止まりになっており、往路を引き返す。

 マイカーを使って大平または笹川から烏帽子林道を進み、中間地点の展望台から登れば、労力は半分ですむが、やはりこの山は海から登り標高のすペてを自分の足で確かめたいものである。

海といえばそこはヒスイ海岸として名を知られたところで、姫川あたりから流されたヒスイが時々打ち上げられているという。
登山後、時間が許せば富山県側の越中宮崎駅まで、約3kmの海岸散歩もよい。
途中には二軒の温泉宿があって入浴ができ、名物「宮崎のたら汁」を賞味することもできる。

余談になるが、展望台の近くの谷に【白滝】がある。
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アプローチ参照
2万5千図●泊・親不知
山名は地形図にのっていない。817mの三角点の位置が大鷲山。
三等三角点の点名「犬鷲谷」から名付けられたという。
渡り鳥の通過経路とも聞く。
通年登山できるが、紅葉の秋から残雪の4月までがおすすめ。冬は輪カンジキ必要。

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(文、地図は、佐伯 克美氏出筆 【とっておきの山歩き】から転写させて頂きました。)

コースタイム

●登山口(-時間30分)中間展望台(1時間30分).大鷲山頂上(-時間)中間展望台(-時間)登山口

マイカー情報 

北陸道朝日ICCより登山口まで車で20分。